第1章 プランを立てる前に知っておきたいウェブの真実

真実4「やって良かった」が大事なんてことはない!

「これだけ露出がありました!」

「これだけペ※ ージビュー(PV)がありました!」

「これだけクリックされました!」

広告代理店やウェブの制作会社などとお付き合いがあると、このような報告を受けたことがあると思います。「今月のページビューは、先月に比べて何パーセント上がって、クリック率は~」などと報告を受けると、「ウチの商品はどんどん認知度が上がっているぞ!」などと満足してしまうかもしれません。でも、ページビューやクリック率というのは、リアル店舗でたとえるのなら、「この街にこれだけ人が通って、お店の前にこれだけの人が来ていますから、すごく良かったですね!」などと言われているようなものです。

これで経営が成り立つかと言えば、そうではありません。

大事なのは、数字の拠りどころが何かです。誰が何を買ったかが売上なのに、ページビューやクリック率、お問い合わせの件数などを拠りどころにしてしまうのは危険です。こんなことを言うと、インターネット業界の方からは怒られてしまうかもしれません。

でも、これが真実なのでお伝えしています。

広告代理店やウェブの制作会社にとって大事なのは「ヤッター感」です。ヤッター感をクライアントさんに伝えれば「勝ち」なのです。要は「やって良かった」を引き出したいがための営業トークです。クライアントさんのことを真剣に考えるなら、無駄な広告をやらないことです。

たとえ、ページビューが10だったとしても、10人が10人、みんな買ってくれれば良いわけです。無駄な広告費を削減できるので、クライアントさんはそのほうが喜ぶわけです。これが本当の意味でのターゲティング型の広告で、興味のない人に広告を見せる必要などないのです。

ひとつ例を出してみましょう。

たとえば、あなたが東京の渋谷で、レストランを経営しているとします。何しろ東京の渋谷ですから、おいしいお店を見つけようと、「おいしい レストラン」「うまい 渋谷」などと検索する人もかなりいるはずです。そして、そうやって検索する人にお店のことをアピールするために、広告を出して、上位に表示されたとします。

こうしたとき、「たくさん表示されましたよ」「アクセスもこんなにありましたよ」などと言うのが広告代理店です。成果も上がったように思うかもしれません。でも、本当にそうでしょうか。大事なのは、何人がお店に訪れてくれたか、予約を入れてくれたかではないでしょうか。

もしかすると、「おいしい レストラン」と検索した人は、沖縄にいる人だったかもしれません。「うまい 渋谷」と検索した人が探していたのは、レストランでなく、ラーメン屋さんだったかもしれません。「おいしい レストラン」と検索する全国の人に広告を見せることは意味がないですし、ラーメン屋を探している人に広告を見せるのも意味がないわけです。

ところが、渋谷にいる人だけに広告を表示する設定にしてしまうと、露出数(表示)が減ってしまうのです。これでは、広告代理店にとってはうまみがないわけです。

あらためて私が言うまでもなく、広告代理店やウェブの制作会社の人間は、こんなことは百も承知のうえです。わかっていながらも、なぜ「ヤッター感」を伝えるようなことになってしまうのでしょうか。それは、本気でクライアントさん思いのことをしてしまうと、手間ばかりかかって、ぜんぜん割に合わないからです。

きちっとしたターゲティング型の広告になると、極端な話、5000円くらいでできてしまうので、チラシの何十分の一で済んでしまうのです。では、代理店の手数料はいくらなのかと言えば、せいぜい10~20%です。だから、月に50万くらい広告予算を割ける企業さんでないと、お客さんにできないのです。

そのためには、無駄な広告をしなければいけません。

ページビューやクリック率が高いのがダメだ、と言っているわけではありません。プランによっては、ページビューやクリック率を求める時期やタイミングもあるでしょう。ただ、広告代理店やウェブの制作会社の思惑を知っているのと知らないのとでは、大きな差がつきます。少なくとも「うちは代理店に任せているから大丈夫!」などとは言えなくなるはずです。

ウェブの真実の4つ目は、「やって良かった」が大事、なんてことはない!

数字の拠りどころを間違えないことです