動物異世界妖怪物語

僕「なぜ人は平気で嘘をつくんだろう」

僕「なぜ人は大切なものを奪うんだろう」

僕「なぜ人は・・」

僕「もう誰も信じられない」

 部屋にあるお気に入りのアザラシのぬいぐるみを手に取って僕はつぶやいた

僕「なぁヨシザラシ!きみだけが僕の相棒さ」

 と、その時

 大きな雷様が僕の家に直撃した

 気がつくと広い海の中に僕はいた

僕「まずい・・・おぼれる・・・」

 僕は無我夢中で、海面へともがいた

 気が付くと、海面にたどり着いていた

 あたりを見回すと、遠くに陸地が見えた

 陸地へ向け、僕は一生懸命泳いだ

僕「助かった・・・」

 無事に陸地へとたどり着いた

 しかし、ここで不思議なことが起こる

 立ち上がろうとするが、うまく立てないのだ

僕「なぜだ・・・なぜなんだ・・・?」

 ふと、足元を見ると・・・

僕「なんだ、この茶色くてフカフカした場所は・・・!!!」

 何度立ち上がろうとしても、足が埋もれてしまう。

 途方に暮れていると、そこに1羽の鳥がやってきた。

鳥「君、見慣れない顔だね?そんなに慌ててどうしたんだい?」

 僕はこれまでの出来事を話した。

鳥「どうりで見慣れない顔だと思ったよ。僕はずっと昔からここに住んでるけど、違う世界から飛ばされてきたのは君が初めてだ。ここは、たいやき島。たいやきの形をしている、たいやきでできた島だよ。」

僕「どうして、この島はたいやきでできているの・・・???どうして、海に浮いてるのにフニャフニャにならないの・・・???」

 僕は、戸惑う気持ちを抑えきれずにいた。

鳥「順を追って説明しようか。実はこの島はたい焼きのような形に見えるだけで実はたい焼きじゃないんだよ。君の足が埋まってるふかふかしてる場所をよくみてごらんこれって毛なんだよ。」

僕「毛?」

鳥「そう、住んでる住民達から抜けた毛が集まってこの島は出来てるんだ、何千年何万年という時間をかけてね。」

僕「そんな事って……」

 信じられなかったが、ふかふかしたものを取ってみたら確かに動物の毛だった

鳥「理解してくれたみたいだね。とりあえずここはふかふかすぎて場所がいいとは言えないから村にいこうか?」

 僕は鳥の話を理解し一緒に村についていく事にした

鳥「そういえば、まだ君の名前を聞いてなかったけどなんて名前なの?」

僕「僕の名前? それが思い出せないんだよ。 気付いたら無我夢中で泳いでてここにいたんだよ。」

鳥 「思い出せないの? 名前ないと不便だからつけてあげるよ。 アザラシだからヨシザラシってどう?」

僕「ヨシザラシ……?あ、ありがとう…ちなみにヨシってどういう意味なの?」

鳥「今、頭の上になぜかヨシって単語が浮かんだだけで対した意味はないよ。」

僕「ないんかい! まぁ名前がないよりはいいか!」

鳥「ちなみに僕は極楽鳥のよくできた営業マン名前長いから営業マンでいいよ」

僕「営業マンかよろしくね。」

 ここから僕と妖怪動物達の長い長い大冒険が始まるとはこの時はまだ思ってもみなかった

僕「いいよなぁ鳥は。自由に空を飛ぶことができて…」

鳥「フフフ…うらやましいかい? みんなにいつもそんなふうに言われるけど…どれ、ちょっと飛んでみるかい?」

僕「えっ???ど、ど、どうやって……???あっ!!!」

 いつの間にか僕の背中には極楽鳥と同じ羽が生えていた

鳥「まぁとりあえず…手足と同じようにうごくから、ちょっと羽ばたいてごらん」

僕「えーっと…よいしょっと…」

 バッサバッサとなんとか動かせるようだ

僕「よぉぉぉし!!!」

 力強く羽ばたかせると…

僕「うわぁぁぁぁお!!!飛べた!!!飛んでる!!!」

鳥「おぉー上手い上手い(笑)がんばれガンバレぇー!」

 1分もしないうちに疲れてしまい、降りてきてしまった

鳥「どうだった?鳥になった気分は?」

僕「うーん…疲れちゃうなぁ」

鳥「まぁそうだろうな。遠い遠い北の町から飛んでくるものがいれば南の島へ飛んでいくものもいる。風は吹くし雨も降るし、この辺じゃライサマとかいう恐ろしいバケモノもいる。そんな中でずっと飛んでいくんだ。何時間も、時には何日も。休みたくても休めない、いつ敵に襲われるかもわからない…そんな毎日だぜ、鳥の世界は。」

僕「…」

鳥「となりのナントカはあおく見える…って言うんだろ?そういうの。それはオレたちがたまたまひと休みしているようなところを、たまたま見かけたんだろう。逆にオレたちはキミたちがうらやましいよ。雨風しのげる場所はあるし、食うところも寝るところもあるし、敵に襲われるなんてほとんどないだろう?それなのに、オレたち鳥がうらやましいと思うかい?」

僕「ずっと飛び続けなきゃならない…いつ襲われるのかもわからない…。それはちょっとこわいな…」

鳥「だろう?フフフ…チキンだな(笑)」

僕「な、なんだよ」

鳥「まぁ良いじゃないか、ビビりのチキンと言われようがあちこちにいい顔する風見鶏だろうが、生きているからこそ、だぜ。それはわかるだろう?」

僕(…なんか理屈っぽいけど…まぁそれもそうだな)

鳥「大空は悲しみもなく自由だなんていう誰かの言葉を鵜呑みにするんじゃなくて、自分の手で足で目で、ひとつずつ確かめていけば良いんだよ。オレはオレでキミはキミだよ。」

僕「そう…だね。わかったよ、ありがとう」(なんか面倒臭いヤツだな笑)

鳥「ところで…キミはこれからどうするんだい?てゆーか、なんでここに来たんだっけ?」

僕「僕にもわからないんだよ。人という者達が住む世界にいたんだけどね。ある日家に雷様が落ちて気がつくと海の中だったのさ。」

鳥「そーかー。それはビックリしたね。なぜかははわからないけどさ。ここに来た意味があるのかもね。」

僕「、、、」

鳥「それならさ。せっかく来たこの世界。答えを見つけてみないかい?ぼくも知りたくなってきたよ!」

僕「そうだね!」

 ヨシザラシと極楽鳥は風の流れにそって進みだした。

 ヨシザラシと営業マンは歩き続け、川のほとりまでやってきた

 川には丸太で橋がかけられている

営業マン「たい焼き島の中には、川が流れているんだ。対岸(たいがん)は地盤がしっかりしていて住みやすいから、僕たちの村はこの先に作ったんだ。橋も仲間と力を合わせてかけたんだよ、と言っても丸太を切って持ってきただけだけどね」

 川を渡ると道が開け、広場みたいな場所に出た。

 見渡すと、小屋やテントみたいな家が見え、中央には焚き火台らしきものがある

 その近くで、動物が作業をしているのが見えた

営業マン「ついたよ。ここが僕たちが住んでいる村。この時間ならみんないると思うから、呼んでみよう。」「おーーーい!」

 すると・・・

三毛猫「営業マンさんお帰りなさい!ちょうど火が付いたところなの。あら、隣にいるのは・・・?」

営業マン「彼はヨシザラシ。帰り道に偶然会って、事情を聞いたら帰るところがないっていうんで連れてきたんだ」

ビーバー「なるほど。せっかくだから、他の仲間も呼んでみようか?」

三毛猫「そうしよう。ちょっと待っててね。」

 そう言うと、三毛猫はどこからかハンドベルを取り出し、カランカランと鳴らした

 すると・・・家や森の中から様々な動物が飛び出してきた

 三毛猫にビーバー、うさぎ、カピパラにキツネと勢ぞろいだ

トーヤ「まずは私たちから自己紹介しよう。その方がヨシザラシ君も話しやすいだろう。私はトーヤアキュム。この村の管理や、様々な物事の相談に乗っている、もはやなんでも屋みたいなことをやってます。」

 旅行好きのため、知識もその分多いが偏りが激しいらしく、興味のある事柄について話し出すと、止まらなくなってしまうらしい。好きな名前で呼んでいいと言ってくれたので、下の名前で呼ぶことにしよう。

きよみ「私はきよ三毛猫~(きよみけねこ~)、きよみって呼んでほしいな。森の中のあおりんごを収穫してきて、動物達に売っているの。ただ食べるだけじゃなくて、アクセサリーの材料としても人気があるの。」

 きよみは、あおりんごが大好きらしく、収穫しすぎてしまうため、家の中が常に「あおりんご」でぎゅうぎゅうらしい。そのため、寝ているときにあおりんごが雪崩(なだれ)を起こして埋まってしまい、仲間が救出する、といったことも少なくないようである。

 一見活動的に見えるが、実際は「家でゴロゴロ寝て、ずっとゲームで遊んでいたい」と思っているらしく、あおりんごの収穫や在庫管理(と言っても積んであるだけ)は自分でやっているが、販売は営業マンに任せているらしい。

営業マン「きよみさんと私は「ビジネスパートナー」なんだ。きよみさんのマネジメント技術のおかげで、僕の日々の営業がとても上手くいっているんだ。この技術や手法を「講座や塾を開いて、私たちに教えてほしい!」と懇願する声が後を絶えないんだ。」

ヨシザラシ「なるほど!手に抱きしめているものは何だい?」

きよみ「これは、伝説の「有能魔法使い」が持っていたらしい「真っ赤な魚」!「くるみ」っていうの。名前は私がつけたのよ。」

小粋ウサギ「初めまして、小粋(こいき)と申します。この村の料理担当をしています。なにとぞ、お見知りおきを。」

 相当な腕前のようで、「表砂糖(おもてざとう)」と呼ばれる伝説の料理を開発しているそうだ。

keikeiカピバラ「初めまして!keikeiです!自分の家を工房に改造して、様々なモノづくりをしています。よろしく!」

 一度「ものづくりのアイデア」が浮かぶと、寝食忘れて作品作りに没頭してしまうそうで、夜中でも工房の明かりがまっぴかりのことが多いという。

☆Sugar☆ベンガルギツネ「ヨシザラシ!いい名前ですね!私はSugarと言います。ピンクの帽子がトレードマークのうじょんヲタクです。よろしくお願いします!」

 「うじょん」とは、「小麦粉を練って細く切って茹でたもの」だという。どこかで聞いたことがあるような・・・?でも、思い出せない・・・

ヨシザラシ「みんなありがとう!最後に僕の番だね。」

 僕は自己紹介の代わりに、これまでの出来事をみんなに話した。

きよみ「それは、大変だったね。しばらく、ここで休んでいくといいよ」

営業マン「私の家においで。私は営業で家にいないことが多いから、ちょうどいいよ!」

ヨシザラシ「・・・じゃあ、遠慮なく使わせてもらおうかな。ところで、この村はなんていうの?」

トーヤ「村の名前…実は決まってなくて、みんな何となくの名前で呼んでいるみたい」

keikei「せっかくヨシザラシが来てくれたのだから、「ヨシザラシ村」とでもしましょうか!」

 こうして、「ヨシザラシ村」が誕生した

小粋「村の名前を決まったということで、夕食の準備を始めよう。みんなも手伝ってくれるかな?」

 そのとき・・・

 ヨシザラシと営業マンが村に到着したちょうどその頃・・・

 コーギーに変身してしまった体育部長は、山中をさまよっていた

 雷のショックで意識がもうろうとする中、必死に仲間を探していた

 すると・・・目の前に煙が見えた

体育部長「煙が見える・・・ということは誰かがいるかも・・・?」

 近づいて見ると、焚き火をしている動物達の姿が見えた

体育部長「あそこに行けば・・・何かが分かる・・・かも・・・?」

 再び歩きだそうとしたその時、意識が遠のき、その場に倒れてしまった。さらに、倒れ込んだところは山の斜面だった

 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…ドッシーーーン!!

 ヨシザラシ村に、大きな音が響き渡った

小粋ウサギ「そういえば、みんな今日は何を食べたい?まぁ、何を食べたい?といっても今ある材料はあおりんごしかないけど……ぱぱっと作れる焼きリンゴでもつくろうか?」

トーヤ「おぉ~いいじゃん焼きリンゴ!ただ焼くだけだしね♪じゃ、今日はそれで決定!」

sugar「え~私はうじょんがたべたいよ~あおリンゴからうじょんつくれない?」

小粋うさぎ「ムリムリ!あおりんごだけじゃうじょんはつくれないよ~ 今日は焼きリンゴで我慢して~!」

 そのとき……ドドドド……ドカーン!

ヨシザラシ「な、なんなんだこの大きな音は!?あ、あれ……崖の下に誰かが倒れてる!けがもしてるし、意識もないきよみさん助けるの手伝って!」

きよみ「わかったわ、それにしてもひ、ひどい。これはきっと崖からおちたのね。 急いでこのくるみのきずぐすりを飲ませてあげて」

ヨシザラシ「このきずぐすりは!?」

きよみ「これは、この赤い魚のくるみのうろこで作った傷薬、魔術効果もあってどんな傷でもすぐに治るのよ! 早く飲ませて!」

???「うう……ここは一体……そうだ、僕は今さっき崖からおちて……」

ヨシザラシ「けがの具合大丈夫?今さっき君は意識を失っててとんでもない怪我をしてたんだよ。 自分の名前は分かる?」

体育部長「僕の名前は体育部長……助けてくれたのは君たちかい? 助けてくれてありがとう!それにしても、ここはどこだい?」

ヨシザラシ「ここは、ヨシザラシ村。なんて言ったらいいだろ……実は僕も来たばかりで詳しい事は良くわからないんだけど、どうぶつ達の村らしいよ。とりあえず、落ち着くまでゆっくりしていきなよ! 君もお腹すいてるだろ!もうすぐ、ご飯ができるからいっしょにたべようよ!」

小粋うさぎ「焼きリンゴできたよ~~~!早くたべようぜ~!」

きよみ「あおりんごもいいけど!やきりんごおいし~!」

 こうして……ヨシザラシ村の事件は一段落したのであった。


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