そもそも私はいたってふつうの男です。デキる男でもなんでもありません。むしろその対極かもしれません。そんな私がWEBマーケティング会社を設立したのは2005年、35歳の頃です。それから年月が経ち私が経営者になってあっという間に時が経過しました。おかげさまで順調に業績も伸びております。

私は一流の大学を卒業したわけでもなく、飛び抜けた能力やセンスを持ち合わせてもいません。経営の勉強は大嫌いですし、セミナーや講習会は特に避けて生きてきました。そんな私はいったいなぜ13年間も経営者として生活してこれたのでしょう??

正直自分でも真相は不明ですが、きっといろんな壁にぶつかるたびに自分で自分に「魔法の言葉」かけ気づきを得て、「これでいいのだ!」と自分を信じ歩んでこれたからだと思います。

私にとってはすべてが「魔法の言葉」です。もちろん、そんな都合のいい言葉なんてあるはずがありません。しかし、我慢や努力が最も苦手な私がまったく何もないところから仕事を生み出し、欲しかった結果を手にすることができた理由を私なりに考えてみると、やっぱりそれは「魔法の言葉」のおかげだった気がするのです。

私は昭和45年に栃木県小山市で大工の次男として生まれました。小さな頃から、飽きやすいし、キレやすいし、何をやってもいいわけばかり。自分が好きなことしかしなくて、いつも遊んでばかりで、いつも思いつきで、いつも無計画で、いつも無謀……。経営者となった現在でさえ、ただ単にやりたいことをやっているだけですから、昔とそれほど変わりがないかもしれません。

そんな私の姿を見て、まわりの人は波瀾万丈な生き方だと言ってくれます。でも、私にしてみれば、やらなくて後悔するくらいならどんなことでもやっておきたいだけですし、自分の人生なのだから自分で考えて自分で行動を積み重ねたいと単純に思っているだけなのです。

ですから私は、偉そうなことなんてひとつも言えません。なにしろその結果は失敗だらけですから。「だから言っただろ? そんなの無謀なことだって!」これまでどれだけ人に笑われたかわかりません。でも、もちろん成功するときもありました。「すごいですね! さすがですね!」ほめてもらえれば私もうれしく感じます。しかし、どんなに人にほめられても、逆に、どんなに人に笑われたとしても、私の心には、いつもちょっぴり違和感が残りました。なぜなら、まわりの人はいつも私の結果だけを見て私を判断していたからです。

しかし私にとって大事なことは、「どんな結果だったか」ではありません。結果に至るまでに「どんなプロセスを経たか」です。私にとって何よりも価値のあることは、目標を手にするために必死に考え、必死に行動し、必死に失敗し、必死に成功することなのです。

私は48歳になった今でもろくでもない人間です。一流どころか二流にもなれない三流人間です。三流人間だからこそ私はどんなことも「とりあえずやってみる」のです。スマートな生き方、すごい結果なんてどうでも良いのです。大した人間じゃないからこそ、行動すればするほど壁にぶつかって、次に進むための「魔法の言葉」を必死に探すのです。私は単純にこれをくり返してきたに過ぎないのです。

三流人間の私でも、最後の最後まで考え抜けば、不思議と状況を打開する「魔法の言葉」が心に浮かんでくるのです。

「あ! そういうことか!」
「こうするとお客様に喜んでいただけるかも!」
「きっとこれなら問題は解決する!」
「もっとこうすれば仕事は楽しくなる!」

ただし、常識とは正反対のような言葉もたくさん心に浮かびました。その証拠に、私の心に浮かんだ言葉を人に伝えるたびに、同業の経営者さんには、「そうだといいですね……」と失笑され、お客様には、「吉田さんらしい考え方ですね……」と遠回しに否定され、若いスタッフには、「……」と黙らせてしまうことがよくありました。

でも、自分でこれだと感じた言葉を信じ抜くと、その言葉は心の支えになりましたし、自分を前進させる原動力になったのです。そんな言葉探しは仕事や経営に対してだけではありません。働き方、考え方、生き方、夢を見る方法など、私は常に自分の心の中に浮かぶ言葉を探してきました。そして自分が信じた言葉をいつも自分自身に言い聞かせました。

それはまさに、ダメな自分に魔法をかけるように!

私のような人間でも大きな夢を見ることができたのは、そんなくり返しがあったからだと思うのです。苦しいときにいろいろな言葉を心に浮かべてきたおかげで、どんなに崖っぷちに立っていても、いつでも次の景色を見るためのエネルギーを得ることができたのです。

私が思い描いた言葉は、人とはちょっと違う言葉かもしれません。しかし、そんな言葉だからこそ「魔法のような力」があるのかもしれません。私はこの本で、自分が自分にかけてきた「魔法の言葉」をみなさんにお伝えしようと思っています。

もちろん、また人に笑われてしまうかもしれません。しかし、私が経営者として生きてきた13年間で、お客様や仲間たちと味わうことができた喜びはすべて、この本にぎっしりと詰め込んだ言葉の数々があったからこそです。

充実して生きていく上で必要なのは「魔法の言葉」です。
たのしく働く上で必要なのは「魔法の言葉」です。

少し常識から外れているようにも感じる「魔法の言葉」を、みなさんにひとつでも多く手にしていただいて、役に立てていただけることを願っています。