第3話: ルールブックと運命の交差点

秀樹の机の上には、彼の新たな人生観を象徴する「人生ゲームのルールブック」があった。それは単なる日記やメモ帳ではなく、彼の運命をデザインするための革新的なツールだ。毎朝引かれるくじには、その日に遭遇する可能性のある出来事が記されていたが、秀樹はそれをただの運命ではなく、可能性として捉えるようになっていた。

一週間が経過し、彼の周りでは微細ながらも重要な変化が起き始めていた。彼は新しいプロジェクトリーダーの小林さやかとのコミュニケーションを取りながら、自分の提案がプロジェクトにどのように貢献できるかを模索していた。

「秀樹さん、あなたのこのアイデア、とても素晴らしいですね!」さやかの言葉は、彼の自信を大いに後押しした。

しかし、ルールブックは彼に仕事だけでなく、プライベートにおいても積極的に行動するよう促していた。ある日のくじには「古い友人との再会」とあった。その予言通り、秀樹は大学時代の友人と偶然にも街で再会した。

「秀樹、久しぶりだね!最近どうしてるの?」友人の問いかけに、秀樹は自分が変わりつつあることを実感した。彼は友人に積極的に近況を語り、再会を喜び合った。

日が落ちると、秀樹は再びルールブックを開き、その日の出来事を振り返りながら、自分の考えや感情を書き留めた。彼はルールブックを通じて、自分の内面と深く向き合い、自己理解を深めていった。

そして、ある夜、秀樹はルールブックにこんな言葉を記した。「運命は、受け入れるものではなく、自分で作り出すものだ。私はもう、くじ引きに翻弄される人生を送らない。」

彼の意識は変わり、日々の行動も変わり始めた。運命のくじ引きは彼にとって、人生を豊かにするためのヒントに過ぎなかった。


つづく