第四章:貢献の時代 ― 誰かのために生きる喜び【4】他人の喜びが自分の喜びになった瞬間

【4】他人の喜びが自分の喜びになった瞬間

自分の成功だけを追っていた頃

若い頃の僕は「自分の成功」しか見えていませんでした。起業したのも、「人の役に立ちたい」より先に「自分が自由になりたい」「自分が豊かになりたい」という思いが強かったのです。しかし、実際に成果が出たときはうれしいですが、何故か心の底から湧き上がるものではなかったのです。数字や肩書きは確かに大事ですが、それだけを追っていると空しさが残るのです。

そんな僕の心が大きく変わったのは、ある顧客からの一言でした。とある中小企業の社長に提案した企画がうまくはまり、「おかげで会社が救われました。本当にありがとう」と涙ながらに握手されたのです。その瞬間、胸の奥が震えるような感覚がありました。「ああ、自分のための成功よりも、誰かのために役立てたときの方が何倍も嬉しい」と。これが僕にとって、貢献の時代の入り口でした。

仲間の成長に感じた喜び

もう一つ忘れられない出来事があります。それは、自分が育てた仲間が成果を出したときのことです。若手社員が初めて大きな契約を取ってきたとき、僕は自分のこと以上に嬉しかった。本人が電話越しに震える声で「やりました!」と報告してきた瞬間、胸が熱くなり、涙がこぼれそうになりました。

冷静に考えれば、その契約は会社にとっては小さな数字でしかありません。けれど、その仲間が自信をつかんだという事実が、僕にとってはかけがえのない喜びだったのです。

自分の成果だけを追っていた頃には、想像もしなかった感情でした。仲間が笑い、仲間が成長し、仲間が前に進んでいく姿を見ること。そこに立ち会えたことが、これほどまでに心を満たすとは思いもしませんでした。

「自分のため」が「誰かのため」に変わるとき

人は「自分のため」だけに生きているときには、どこかで限界にぶつかります。けれど、「誰かのために」動いたとき、そこには尽きることのないエネルギーが湧いてくるのです。

顧客の「ありがとう」や仲間の成長は、自分の努力が確かに誰かの役に立った証。その瞬間こそが、僕にとっての本当の報酬でした。

貢献とは
「自分を犠牲にすることではなく自分の力を分かち合うこと」

その結果、相手の喜びが自分の喜びに変わり、心がさらに豊かになることではないでしょうか