誘う側と誘われる側

僕は昔から、ほぼ自分が誘う側です。
食事でも、仕事でも、打ち合わせでも、何かを始める時はだいたい僕が声をかける。
感覚でいえば、99%はこっちから誘っている気がします。

相手から誘われたとしても、お金は自分で出すタイプです。
別に格好をつけたいわけではありません。
ただ、それが僕の中では自然だったのです。

仕事も同じです。
依頼されたことで対価をもらう以上は、責任を持って最後までやる。
たとえ損をしてでも引き受けたなら、形になるまでやり切る。
そのために、自分の時間も使う。
お金も使う。
体力も気力も使う。
それが僕の中での「あたりまえ」でした。

考えてみると、誘うという行為はプッシュ型の営業に似ています。
 こちらから声をかける。
 こちらから場をつくる。
 こちらから動く。

つまり、責任を持つ側になるということです。

だから多くの人は、誘われる側に回るのだと思います。
その方が圧倒的にラクだからです。

 自分から動かなくていい。
 責任も取らなくていい。
 都合が悪くなったら離れればいい。

そりゃそうです。
大抵の人が誘われる側に回るのも無理はありません。

最近までそのことに気づかなかったのは、今まで乗っかるだけの人と仕事をしてこなかったからです。
僕は相性で仕事を引き受けてきたので、そこがたまたま良かったのだと思います。

どんなことでも、何かを始める時にはパワーがいります。
寝る間を惜しんで、損をしてでも動いて、動いて、動いて、結果が出るまでやり切る。
そこまでして、ようやく形になります。

そして、うまくいき始めると人が集まってきます。
それ自体はまだいいのです。
うまくいく場所に人が集まるのは、ある意味当然ですから。

僕が本気でイライラするのは、その後です。

都合が悪くなると、陰で文句を言う。
それまで乗っていた人たちが徒党を組んで距離を取る。
そして、まるでこちらが悪人だったかのような顔をする。

この構図、どこかで見たことがあると思ったら、よくある「従業員が会社や経営者の悪口を言う話」と同じでした。

経営者は、見えないところで責任を背負っています。
赤字の不安もある。

 固定費も人件費も背負う。
 問題が起きたら前に出る。
 結果が出るまで踏ん張る。

それでも一部の人は、事情も知らず、背景も見ず、好き勝手なことを言う。

僕はたぶん、ずっとこういう人たちにイライラしていたのだと思います。
誘う側であることに疲れたわけではありません。
お金を出すことが嫌なわけでもありません。
損をしてでも最後までやること自体に、不満があるわけでもありません。

腹が立っていたのは、そこに乗るだけ乗って、責任は負わず、都合が悪くなったら平気でこちらを悪者にしてくる人たちの存在です。

こちらが考え方を変えても限界があります。
こちらが誠実にやっても、損をしてでもやっても、それを当たり前だと思う人は必ずいます。

利用することしか考えていない人もいます。
成果だけ欲しがって、責任からは逃げる人もいます。

そういう人たちの中で、こちらだけが姿勢を正しても意味がない。
また同じことが起きるだけです。

だからこれからは、誰と組むかを今まで以上に選びます。
頑張ることより先に、責任を背負える相手かどうかを見る。
それが今の僕にとって、いちばん現実的な答えです。