#01:ただ正しくあるよりも優しくあれ - 25歳の僕への手紙

#01:ただ正しくあるよりも優しくあれ - 25歳の僕への手紙

25歳の僕へ。
君は今、たぶんまっすぐで、熱くて、
自分の信じる正しさを胸に、いろんなことに立ち向かっている頃だよね。

それはすごく大切なことだし、誰にも真似できない君の良さでもある。
だけど、55歳になった僕から、ちょっとだけ伝えておきたいことがあるんだ。
それは、「正義と悪って、案外、すごく近い場所にあるんだよ」ってこと。

正義ってね、自分が正しいと信じることだろう?
でもね、それは誰かにとっては「余計なお世話」だったり、「押しつけ」だったりすることもある。
正義を掲げるとき、人は無意識に“敵”を探してしまうんだ。
そうすると、気づかぬうちに、自分が誰かにとっての“悪”になっていることもあるんだよ。

もちろん、君の中にある「誰かのために」という気持ちは、本物だと知ってる。
だからこそ、「その正義は、誰かを笑顔にできてるかな?」って、一度立ち止まってみてほしい。
ただ、分かってるよ。
若いときって、そんな余裕なんてないよね。
「そんなの関係ない!これは正しいんだ!」って突っ走るほうがカッコいいし、手応えもあるし。

でもね、もしどこかで心が疲れたとき、誰かとぶつかってしまったとき、
この手紙をふと思い出してくれたら嬉しい。
正義と悪って、どっちも「自分の信じるもの」ってところが、すごく似てるから。
違うのは、そこに思いやりがあるかどうかだけなんだよ。

これを書きながら、僕自身もいまだに自問してるよ。
本当にそれは「正義」だったのか?ってね。
だから、これは君への手紙であると同時に、僕自身への手紙でもあるんだ。

たとえ伝わらなくてもいい。
でも、もしかしたら何年か後の君が、ふと「あのときの言葉、ちょっと分かるかも」って思ってくれたら、
それだけで、この手紙を書いた意味があるんじゃないかなって思ってる。

じゃあ、また書くよ。
今の君に、そっと太陽をあてるような言葉を届けられるように。

――55歳の僕より

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