【03】「成功者は諦めなかった人」
僕が会社を始めてから、何度も「逃げ出したい」と思ったことがありました。借金に追われたわけじゃありません。でも、仕事が忙しすぎて、ほとんど寝る時間もない日が続いたんです。頭はボーッとしているのに次から次へと案件が舞い込み、電話は鳴り止まない。体は動いているのに、心が追いつかない。そんなとき、ふと「もう全部やめてしまおうか」と思ったことは一度や二度ではありません。
きっと、経営者に限らず誰にでも「逃げ出したくなる瞬間」はあると思います。残業続きで身体が悲鳴をあげているのに、まだ終わらないタスクが机の上に積まれている。休日も心が休まらず、スマホに届くメールやLINEに追い詰められる。誰も代わってくれない責任に押しつぶされ、「もういいや」と布団をかぶってしまいたくなる。
そういうとき、人は「諦めるという選択」に惹かれるんです。
やめてしまえば、苦しみは一瞬で終わる。新しい道を選べば、「失敗じゃなかった」と言い訳もできる。周りの人も「仕方ないよ」と慰めてくれる。だからこそ、諦めるのはとても甘美で、楽な道に見えてしまうんです。
でも、そこで諦めたら、積み重ねてきたものはすべてゼロになる。僕が逃げ出さずに机に向かい続けられたのは強さではなく単に現状がすべて壊れてしまいそうで「怖かった」からなんです。
諦めないと意固地は違う
ここでひとつ、誤解しがちなことがあります。
「諦めない人」と「意固地になって続ける人」は似ているようで、実はまったく違うということです。
諦めない人は、たとえ辛くても「本当にやるべきこと」を見失わずに、冷静に次の一歩を選べる人です。
一方で意固地な人は、感情に支配されて冷静な判断ができなくなっている人です。
たとえば
- 苦しい状況から「楽な方に逃げたい」と思ったとき、それでも踏みとどまるのは「諦めない」。
- 逆に、失敗が明らかになっているのに「認めたくない」と意地を張り続けるのは「意固地」。
この違いに気づけないと、「続けたいのに続けられない会社」になってしまいます。
現場を見ていても、感情的に頑張りすぎて資金や人材を消耗し、立て直せなくなるケースを何度も見てきました。
諦めないことは大切ですが、同時に「冷静さ」を失わないことも同じくらい重要なんです。
小さな「もう一歩」を積み重ねる
僕がこれまで1500社以上の経営者と関わってわかったのは、「成功者」に共通するのは才能や運ではなく、冷静に状況を見極めながらも“もう一歩”を踏み出したという点です。
眠気で倒れそうになりながらも、もう一通だけメールを返す。
疲れ切った体に鞭を打って、もう一件だけ打ち合わせに出かける。
心が折れそうでも、「せめて今日だけは」とやりきる。
それは派手な挑戦ではなく、地味で小さな一歩。
でも、それを積み重ねていく人だけが、やがて誰も追いつけない場所に立っているんです。
続けるために必要なのは「理由」
じゃあ、なぜ人はそんな無理をしても続けられるのか?
そこにあるのは「強い理由」です。
僕の場合は、「誰もやらないことを形にしたい」という想いが支えになってきました。
正直、逃げ出した方が楽だった日もあります。
でも「ここで投げ出したら、自分が信じてきたものが全部ウソになる」と思うと、不思議と体が動いたんです。
強い理由がある人は、冷静に判断しながら、必要な諦めない一歩を選べる。
理由が弱ければ、意固地になって暴走するか、逆に簡単に諦めてしまう。
成功者とは「冷静さと理由を持ち、逃げ出さずに歩み続けた人」なんです。
あのとき逃げ出していたら
今振り返れば、寝る時間も削って必死で走っていたあの日々があったから、今の僕があります。
もし途中で逃げ出していたら、本を出すことも、こうして人に伝える仕事をすることもなかったはずです。
つまり「続けたからこそ見える景色」が必ずある。
その景色は、途中で降りた人には一生見られない。
そして見えたとき、人は初めて「あのとき諦めなくて良かった」と心の底から思えるんです。
まとめ
成功者は「諦めなかった人」です。
ただし、それは意固地で続けた人のことではありません。
諦めない=冷静に理由を持って一歩を選び続けた人
意固地=感情的になって判断を誤り、自滅してしまう人
この違いに気づけるかどうかが会社を続けられるかどうかの分かれ道です。
成功とは才能や運の話ではなく
「諦めない冷静さと理由」を持てるかどうか
そこに尽きるのです。


