僕は傘

僕なんて・・・
晴れの日には誰にも見向きもされない
雨が降るときだけ
ようやく外に出してもらえる存在
しかも濡れるのはいつも僕の方だ
新しい折りたたみ傘や
自動で開く高機能な傘
あの子たちは軽くてスマートで
みんなに大事にされてる
僕はちょっとサビてるし
骨もゆるんできた
すぐ壊れるって文句を言われたこともある
だから最近はずっと
玄関のすみでひっそりしていた
もしかしたら
もう使われないまま捨てられるのかな……
そんなことをぼんやり考えていたある日
突然小さな手が僕を引っ張り出した
ランドセルを背負った男の子が慌ててこう言ったんだ
「ママの傘がない!これ、使っていい?」
バサッと広げられた僕は
久しぶりに空を見上げた
冷たい雨粒が落ちてくる
でも不思議とうれしかった
だってその下であの子は守られていたから。
僕は傘
雨の日しか出番はないけれど
その日だけは君のことをそっと守っている


