『あの日の言葉と、いまの答え』はじめに
2025年9月、僕の会社は設立20周年を迎えました。思えば10周年の節目に『明日の出社が恋しくなる73のことば』を出版してから、気づけばもう10年の月日が流れています。
あの本は、会社を立ち上げてから最初の10年間に綴ったブログの中から73の言葉を選び、当時の僕の気づきや想いをまとめたものでした。まだ経営者としても人間としても未熟で、右も左もわからず迷いながらもがむしゃらに走り続けていた時代。文章の一つひとつには、汗や焦りや不安がにじみ出ていたと思います。けれど同時に、未来に希望を持ちたいという必死な祈りのような気持ちも込められていました。
そしてさらに10年が経ちました。ブログの記事は4000本を超え、その一つひとつが僕の20年間の歩みを記録しています。華やかに見える成功もあれば、静かに沈み込むような失敗もある。大きな挑戦に胸を躍らせた瞬間もあれば、裏切りや孤独に打ちのめされた日もある。喜びと悔しさのすべてを包み隠さず書き残してきたからこそ、いま改めて読み返してみると「これこそが自分の人生そのものだった」と実感します。
人は、過去に書いた言葉を読み返すと、ときに恥ずかしさや後悔を覚えるものです。「なんて未熟なことを言っているんだ」と笑いたくなるような文章も多い。けれど不思議なことに、そうした未熟な言葉だからこそ、当時の本気の悩みや熱量がそのまま残っている。今となっては、あの頃の僕が必死に紡いだ言葉に救われることさえあります。
この本『あの日の言葉と、いまの答え』は、そんな膨大な記録の中から「いまの僕が読み返しても心に響く言葉」を選び直し、20年という時間を経た今だからこそ出せる「答え」を重ねたものです。あの頃の僕と、いまの僕が対話するように、一つひとつの言葉に向き合いました。
過去に残した言葉は、決して「正解」ではありません。むしろ未完成の問いかけであり、だからこそ年月を経た今の自分が改めて答えを与えることができる。そんな往復書簡のような感覚で、この本を綴っています。
この本を手に取ってくださった皆さんにとっても、きっと自分の過去と向き合うきっかけになると思います。あの日の自分が残した小さな言葉を拾い上げ、いまの自分ならどう答えるかを考えてみる。そんな対話を通じて、未来は少しずつ変わっていくはずです。
20年という節目にあたり、僕は改めて確信しました。
過去を振り返ることは、後悔のためではなく、未来を描くためにあるのだと。
この本が、あなた自身の気づきの一冊となれば幸いです。


