第一章:依存の時代 ― 守られる場所にとどまるか、自分で立つか【2】甘えと責任転嫁の壁

【2】甘えと責任転嫁の壁

甘えのぬるま湯

人は誰でも心のどこかで「できれば楽をしたい」と願っています。それは悪ではなく自然なことです。赤ん坊は泣けば誰かがミルクをくれ、子どもの頃は親や先生が導いてくれる。だから「甘え」は生きるうえで必要なものでもあります。

しかし、大人になってもその姿勢を引きずっているとどうなるでしょう。「親がそう言ったから仕方ない」「会社が守ってくれるから安心だ」 そうした考え方は、一時の安心を与えてくれます。

けれど、その安堵感は「ぬるま湯」と同じ。心地よい温度に浸かり続ければ、やがて動く気力を失い、知らないうちに成長のチャンスを逃してしまうのです。

責任転嫁という牢獄

依存を抜け出せないもうひとつの理由は「責任転嫁」です。「上司が無能だから成果が出ない」「景気が悪いから仕方ない」と口にすれば、その瞬間は楽になれます。自分のせいではないと思えるからです。

しかし、その言葉を繰り返すたびに、あなたの未来は他人や環境に握られてしまいます。責任を人や時代に押しつけるほど、自分で変える力を失うのです。

確かに理不尽な状況は存在します。誰がどう見ても避けようのない不運もあるでしょう。けれど「自分には関係ない」と言った瞬間から、あなたは環境の奴隷になる。責任転嫁は、目に見えない牢獄を自ら築き上げる行為なのです。

人生の主導権を取り戻す

依存の壁を越える第一歩は、言い訳をやめることです。

「上司が無能でも自分にできることは?」
「親の意見を聞いた上で、自分はどうしたい?」
「不景気の中でもチャンスがあるとすれば?」

ほんの少し問いを変えるだけで、思考は依存から自立へと切り替わります。甘えと責任転嫁は柔らかく心地よいクッションのような壁です。寄りかかっていれば安心できますが、そこで眠ってしまえば永遠に動けなくなるでしょう。

勇気を出して立ち上がり、自分の人生のハンドルを自分の手に取り戻す。そのとき、初めて「自分の人生を生きる」という実感が芽生えるのです。

あなたはいま、そのクッションに身をゆだねていますか?
それとも壁を越える一歩を踏み出しますか?