【12】社員は会社のビジョンについてくるのか?

社員はビジョンにはついてこない

「社員は会社のビジョンについてくる」これも、経営の世界では長く信じられてきた言葉です。立派なビジョンを掲げ、全社員が同じ方向を向いて進む。たしかに、ひと昔前まではそれが機能していた時代もありました。しかし、今の僕の答えははっきりしています。

社員は、会社のビジョンにはついてきません。これは社員の意識が低くなったとか、忠誠心がなくなったという話ではありません。時代そのものが変わったのです。終身雇用は崩れ、働き方は多様化し、人生設計も人それぞれになりました。

そんな時代に、会社側が一つのビジョンを掲げて「ついてこい」と言っても無理があるのは当然だと思っています。

変化の激しい時代に、ビジョンは固定できない

もうひとつ大きな理由があります。それは、ビジョン自体を固定できない時代になったということです。

市場は変わる。
技術も変わる。
顧客の価値観も変わる

驚くほどのスピードで!!

そんな環境の中で10年先を見据えた壮大なビジョンを掲げ続けること自体がリスクになり得ます。むしろ、変化に応じて方向修正できない会社のほうが、早く立ち行かなくなります。

経営者自身が「昨日まで正しいと思っていたことを今日変える」

そんな判断を迫られる時代です。

その状況で社員に「このビジョンに人生を重ねてほしい」と求めるのは、現実的ではありません。ビジョンはあくまで経営の指針であって、社員を縛る旗ではないのです。

ビジョンよりも「個々の考え」を共有する

では、会社は何を軸に組織をつくればいいのか。僕が行き着いた答えは、とてもシンプルです。

会社のビジョンを押し付けるより働く一人ひとりの考えを理解すること。

・どんな働き方をしたいのか
・どんな成長を望んでいるのか
・今は何を優先したいのか

これを一律で管理しようとするのではなく「この人には、どんな関わり方が合うのか」を個別に考えるほうが、よほど健全です。

全員が同じ方向を見る必要はありません。同じ船に乗っている理由がそれぞれ違っていても良いのです。重要な事は、その人の考えと会社が提供できる環境が噛み合っているかどうかです。仕事があれば採用され、仕事が無ければ解雇される時代に日本も突入しているのです。

柔軟でフレキシブルで固定観念に縛られない企業。
そうした会社がこれからの時代を生き残っていくのだと思います。

社員がビジョンについてこないのではありません。
時代がビジョン一本槍の経営を許さなくなった。

それが、
僕が今たどり着いている結論です。