第一章:依存の時代 ― 守られる場所にとどまるか、自分で立つか【3】読者への問いかけ ― あなたは誰に人生を預けていますか?

【3】読者への問いかけ ― あなたは誰に人生を預けていますか?

先生や親に預けた進路

ここで少し立ち止まり、自分に問いかけてみてください。
あなたがいま歩んでいる道は、本当に「自分の意思」で選んだものでしょうか。

たとえば進路の選択。思い返してみれば、本当は別の夢があったのに、「先生が勧めるから」「親が安心するから」という理由で進学先や就職先を決めてはいませんか。大切なはずの夢を脇に置き、他人の言葉を根拠に選んでしまう。これは一見すると賢明な判断に見えます。先生や親はあなたを心配してアドバイスをしてくれるからです。

けれど問題は、それが「あなた自身の選択」を押しのけてしまうことです。やりたかったことがあったのに、口にする前に封じ込めてしまう。自分の声をかき消してしまう。気づけば、人生のハンドルを他人に預け、自分は助手席に座っているだけになってしまいます。

助手席に座っている間は、確かに楽です。道を間違えても責任は運転している人にありますから。でもその代わり、どこに行くかも、どこで止まるかも、自分で決めることはできないのです。

世間体に揺さぶられる結婚や離婚

次に考えてみたいのは、人生の大きな節目である結婚や離婚です。これは人の人生を大きく左右する大きな選択ですが、意外と「自分の意思」ではなく「周りの声」に影響されて決めている人が多いものです。

「もう年齢だから」「そろそろ結婚しないと恥ずかしい」 そんな理由で結婚を決める人がいます。あるいは「みんなが離婚したほうがいいと言うから」と離婚を選んでしまう人もいます。人生を変えるほどの決断なのに、その根拠が“世間体”であることも少なくありません。

でも考えてみてください。周囲はあなたの人生に最後まで責任を取ってはくれません。幸せな結婚生活を送れるかどうか、離婚した後の人生をどう歩むかは、最終的には自分自身の選択にかかっています。にもかかわらず「周りが言うから」という理由に従ってしまうのは、自分の人生の舵を世間に渡してしまうようなものです。

世間体は確かに無視しづらい力を持っています。でもそれを基準に決めた人生は、どこかで必ず歪みを生みます。なぜなら「本当は自分がどうしたかったか」を無視しているからです。表面上は平穏に見えても、心の奥に澱のような後悔が残ってしまうのです。

会社への不満を言いながら動かない自分

最後に、仕事についても考えてみましょう。
「給料が安い」「会社の方針が悪い」「上司が信用できない」 こうした不満は、多くの人が心のどこかで抱いているものです。口にすれば一時的にはすっきりします。仲間と居酒屋で愚痴を言い合えば、その場だけは安心できるでしょう。

でも問題は、その後です。不満を言ったあとに、自分は何か行動を起こしているでしょうか。転職活動を始めてみたか。スキルを磨く努力をしてみたか。あるいは社内で改善を提案してみたか。もし何もせずにただ時間だけが過ぎていくのだとしたら、それは「依存のステージ」に立ち止まっている証拠かもしれません。

大事なのは「そんな自分はダメだ」と責めることではありません。むしろ「ああ、これが依存か」と気づくだけでいいのです。気づきは小さなことに思えるかもしれませんが、それこそが壁を越えるための最初の一歩になります。人は「知らないこと」には立ち向かえません。けれど「知ったこと」には必ず向き合えるようになる。だからこそ、自分がどこに立っているのかを正直に認めることが、次のステージへの入り口になるのです。