第3章:日常生活のやらない決断(7)

(7)日常に潜む「こうあるべき」を捨てる

日常生活の中には、知らず知らずのうちに「こうあるべき」と思い込んでいることがたくさんあります。「朝は必ず早起きすべきだ」「毎日掃除をすべきだ」「連絡にはすぐ返事をすべきだ」「友人の誘いを断るべきではない」  こういった考え方が、僕たちの心に無意識に重くのしかかっているのです。

もし、これらの「べき」に無理に従い続けていると、心や体に少しずつ負担がかかり、気がつけばストレスに押しつぶされそうになります。「こうあるべき」という思い込みが、自分自身の健康や幸せを犠牲にしていることに気づかないまま、無理を重ねてしまうのです。

たとえば、休日は「有意義に過ごすべきだ」と考えて、予定を詰め込みすぎてしまう人がいます。ゆっくり寝たい気持ちを押し殺して、観光やショッピングに出かけることで、かえって疲労がたまることもあるでしょう。また、「誰かと食事をするべきだ」と思い込み、一人でのんびり過ごす時間を罪悪感に感じてしまうこともあります。

こうした「べき」にとらわれてしまうと、本来楽しむべき時間さえも義務感でいっぱいになってしまいます。本当は何もしないで過ごしたい日もあるのに、「休むこと=怠けること」と思い込むことで、自分を責めてしまうのです。

仕事における「べき」は別問題

もちろん、仕事においても「こうあるべき」が重荷になることがありますが、ここで取り上げているのはあくまで日常生活に潜む「べき」についてです。仕事は責任や役割が伴うため、チームや社会との調和が必要です。そのため、仕事に関する「べき」の捨て方にはまた別の工夫が必要ですが、まずは日常生活の中で無意識に抱えている「こうあるべき」を見直すことが大切です。

自分に優しく生きるために

日常の「べき」を捨てるためには、自分の気持ちを素直に受け入れることが必要です。「今日は何もしたくない」と思う日があっても良いのです。心と体が「休みたい」と訴えているときは、その声を無視せず、堂々と何もしない時間を過ごしましょう。

また、人からどう思われるかを気にしすぎないことも大切です。「一人でいるのは寂しそう」「連絡をすぐ返さないと冷たい人だと思われる」といった不安が、無意識のうちに「こうあるべき」を強化していることもあります。他人の評価ではなく、自分が心地よいと感じるかどうかを基準にしましょう。

「やらないこと」を決めることで、自分らしさを取り戻し、心身のバランスを保つことができます。

「こうあるべき」を捨てる勇気を持ちましょう。無理に周りの期待や社会の常識に合わせなくても良いのです。自分が心地よく過ごせる選択をすることで、自然と笑顔が増え、結果的に人間関係も豊かになります。あなたが本当に大切にしたい時間を守るために、不要な「べき」を一つずつ手放していきましょう。その選択が、より自由で健やかな日常を築く第一歩となります。