吉田英樹の営業塾第1期は書籍連動企画「超ネット販促Ⅱ」のリアルタイム塾生として完全モニターとして参加した為、ネット販促営業塾をWEBサイトにて完全公開しています。ウェブを活用して最小限の予算で最大限の効果を発揮したい経営者に参加してほしい内容となっております。


ポジショニングマップを作り目標設定を行う

吉田英樹の営業塾 第Ⅰ期1時限目ダイジェストムービー


『吉田英樹・営業塾』1時限目 開催日2021年9月14日(火)14:00

第1期生紹介

ケーナ奏者 Renさん
南米アンデスの縦笛ケーナを演奏している演奏家。ケーナの演奏のほか教室、ケーナの制作活動、楽曲の制作など。今年1月に音楽事務所を立ち上げ、今は一人で運営。元中学校の数学教師。受講のきっかけは、吉田さんのラジオに出演したこと。


動物プロデューサー 香川彰範さん
ファーストスタープロダクション代表。動物プロデューサー。移動動物園の企画・運営、セラピードックの派遣、メディア系(テレビ・ドラマ・CM等)への派遣、番組の監修など。独立して再スタートをきるにあたり、HPのコンサルを吉田さんに依頼したことから参加。

はじめに

10年前に出版した「超・ネット販促」では、小山商工会議所の「かんぴょううどん」がインターネットでどれくらい売れるかを実録。通販を前提に贈答品として考えたときに、栃木での競合としてイチゴやレモン牛乳などを想定し、その中で売れるための戦略を考えた。この本が今でも売れていて、コンサルティングの話も多い。

あれから10年経ったが、基本的にマーケティングの原理・原則というものは変わらない。しかし、手段は大きく変わっている。今回の本は、LINEやSNSなどが主流の時代に合わせた『超・ネット販促〜ver2021』を作っていこうという企画。前回はかんぴょううどん1本に絞り、インターネットで商品を売るためには?という内容だったが、今回は3つの実例を同時進行させるという初の試み。

1、ワークショップ…ポジショニングマップを作る

商売をする際のプランニングで重要なのは、さまざまなチェックから始めること。そのために必要なのが「ポジショニングマップ」の作成。これが自分が戦う“フィールド”を決めるための重要な指標となる。このマップを作成するにあたり、まず考えなければいけないのが「3C分析」

自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つの「C」について分析することで、自社の強みや弱みは何か、お客さんはどんな状況で買ってくれるのか、どんな競合がいるのか、といった現状を客観的に把握することができる。1回目の講義ではこの3C分析のフレームワークをおこない、ポジショニングマップを作成することで課題を探り、戦略を決定し、半年後の目標を設定する。

3C分析

1)自社の分析

自分の今の状態を客観的に把握する。強みや弱み、現状での市場での立ち位置などを分析。販売する地域なども視野に入れる。謙遜は捨てること。自慢するくらいでOK。それがプロモーションにつながる。

2)顧客の分析

その商品を買うユーザーがどんな人かを仮で設定する(ペルソナ設定)。「若い女性」など大まかな設定ではブレてしまうので、できるだけ具体的にイメージをすること。ただし、例えばランドセルのように、使う人と買う人が違う場合もある。ターゲットは子供でもプロモーションするのは親や祖父母世代ということになる。この場合の顧客は「50〜60代の孫のいるおじいちゃん・おばあちゃん」ということになる。プレゼントの場合は、お金を出す人が使う本人ではないので、アピールするターゲットが変わってくる点に注意。

3)競合の分析

自分が売っていく商品がすでに他社がやってるなら、なるべく大手と被らないところを見つけていく。そのためには、競合のチェックもしながらプロモーション進めていく必要がある。逆を言えば、すでに認知はされているということなので、コバンザメ的に大手に便乗することも戦略の一つ。競合となり得る同業他社をピックアップしておくことは、半年後に結果を出すための行動を起こする際に必要となるので、相手を知ることも大切


「ポジショニングマップ」

縦軸と横軸で考察。例えば「価格」を縦軸、「品質」を横軸とした場合、右上が高価格で高品質の市場ということ。ユーザーにとっては品質が高くて価格が安いこと理想だが、競合他社が多い市場でもあるため、自分たちは現状どの立ち位置にいて、強みを生かしてどのシェアを狙うのか、その範囲(丸の大きさ)はどのくらいかを探る。一番狙いたいのは競合がいないところなので、他社のいない“隙間”を探したいが、空いているというのは“売りにくい”という部分でもある。

ポジショニングマップはいろんな軸で自由に作れるので何枚も作ってみる。その際、軸は自分で決めてしまうとズレていく可能性があり、正しいかどうかの判断ができないので、できればみんなの意見を取り入れユーザー目線で客観的につくることが重要。ただ、価格と品質は王道。これは必ず考えたうえで、自分たちのシェアはどの辺かを探る。また、どれもこれもとなると結果がブレるので、今回は自社が扱っている商品のどれか一つに絞っていきたい。

価格の設定としては、大手でない限り、低めに設定してしまうと自分の首を締めることになる。安くても自動的に売れていくような商品なら良いが、「倍(数)売ればいい」というのは忙しくなるだけ。ただ高いだけでなく、いかに付加価値をつけて高く売るかがポイント。

(例)カフェ、ビール、洋服ブランドなど
価格やメニューのバラエティさを軸に、カフェなら大手のスターバックスやコメダコーヒーなどをパップ状に配置。価格以外にも、カフェならではの「空間(居心地)」なども軸になり得る。

そもそも、競合がなかったらマップを作る必要はない。ただ、どこにも競合がないという新しい業界だった場合は、どこでも勝負できる“ブルオーシャン”だが、その商品がブランド化していない(認知度がない)ということにもなるので、プロモーションが非常に難しい。まずはブランド作りが主な目標となり、販売地域や需要、規模なども分析していくことが重要。


<受講生の様子>
香川さんは当初、自社分析で「強みがない」と苦笑していたが、同行させていた犬の話になると、自信満々で解説を始め、ひらめいたように「強みありました。動物に強い!」と自覚できた様子。また顧客の設定では、吉田さんから「初デートの際に、わんちゃんがいたら会話が弾むかもという風に、どういうときにあったらいいなというのを仮で設定してもいい」とアドバイス。

競合の分析では、すでに他社でやっているのに知られていないという点に着目。「説明は大変。商品そのものもそうだが、メリット・デメリットの説明など苦労することもあります。例えばセラピードックも、日本は海外より50年遅れていると言われている。厚生省からは、保護犬をもっとセラピードッグに育てあげていくという事業を2022年からやっていくとリリースされた。

また四国の方の警察では、帰属の警察犬のほかにセラピードッグを雇い入れたというニュースもあった。アメリカではセラピードッグは当たり前で、病院には看護師と同じ立場で勤務しているファシリティードッグがいる。読者介助犬(犬に本を読み聞かせる)という役目のわんちゃんもいる。

人間は、犬と目と目があうとオキシトシン(愛情ホルモン)が分泌されて幸せになると言われている。犬もガマンをしているのではなく一緒に楽しんでいるという思想なんです」と熱弁。しかし、世の中に認知されていないということは、プロモーションがうまくいっていないという問題点が出てくる。そういった現状を把握するためにもマップを作ることが重要になる。

現状では、“利益”の部分で考えたらBtoBの移動動物園を強化したい考え。プライベート動物園のように、家庭での誕生会やサプライズなどであれば、平日なら2〜3時間で5万円くらいで可能。これは相場の半額。他の移動動物園でもやっているような内容であれば、価格は高くなるが、自社ではそのぶん珍しい動物を連れて行くなどで対応。

また、保健所から保護犬をもらう場合にはトライアルができる点にも着目(ペットショップでは不可のことも多い)。コロナ禍でペットを飼う人が増えたが、飼いきれない人も多いという現状から、すぐにペットを購入するのではなくこういった方法を紹介することもあり。
「メディア系では大手芸能プロダクションは何社もあるが、移動動物園は小さいところがたくさんある。現在はそれをまとめてリンクアップさせ、お客さんにパッケージ化して提供するということもやっているので、今後はこの事業の拡大に焦点を絞る」と早々に考えをまとめた。

シーオーラボとしては、自社の強みを「さまざまな業種とコラボできる、人脈ができる」と分析。しかし、同業の他社がいるのかまでは把握できていない。そもそも自分たちは何を販売するのか、物販なのか、体験やイベントなのか、コンテンツなのか、そして業種でいうと何なのか?と、方向性が定まらない様子。さまざまな案は出していくが、はっきりと決められないまま時間が過ぎてしまった。

ただ価格に関しては、「安いよりは高い方がいい、コラボ界のルイヴィトンと呼ばれよう(笑)」と強気。特にイベントの場合は安価では回せないという問題もあるため。「品質も価格も高い。目指すはここ」とマップ上での狙いを定めた。Renさんはすでに知名度もあるため、ケーナを知らない人に多くしてもらうかというのがポイントになると吉田さん。シーオーラボとコラボして、竹を切るところから3人が作ってみるなど、展開を提案。

販売に関しては、「ケーナを売りたい」と思って動いているが、実践はできていない。現状、教室で販売しているのは入門用で1万5千円、中級者が10万円くらい。ただしそれは自分の教室で教えることも含めているので、一般の人にはどれくらいで売れるのかわからない。また、最初に売れることも大事だけど、後から継続して売れることも大事ししたい。安定した販売をしていくにはどうしたらいいかが課題。

また竹製のものは定期的なメンテナンスが必要で、それを頻繁に依頼されるのは大変なので、材料を手入れのしやすい木材にして、それを加工してもらえる業者があったので来月くらいに話をしてみようかという段階。状況が整えば月に5本は作れると思うが、製作期間は2〜3ヶ月はかかる。

今の楽器は、輸入されてくるものと、日本の制作家が趣味で作っているものがあるが、質・性能からみても演奏家で買って使っている人はいない。自分が作るものはプロの演奏家目線で作れるので、「演奏家が作る」というのが売りになるし、教材と一緒に販売することで、価値づけしていけると分析した。

以上のような流れを踏まえ、まずは3組がそれぞれ「3C分析」を発表。

香川さんの分析発表

自社の強みは、特殊な業界で、特殊な知識を持っていること。動物に関する知識が豊富ということ。また大手があまり参入していない世界で、小規模な事業者が全国にいるので、地方のイベントなど今までやっていなかった施設に提供するなどが可能。

弱みは、動物かわいそうというマイナスイメージを持たれがちであるころ。資格や行政への登録してきちんと動物のケアしながらやってるが、見た目でリラックスしていても「ぐったりしていてかわいそう」とクレームが入ることも。ときには虐待と言われてしまうこともある。
今の市場エリアは、南東北と関東圏(おもに北関東)に絞っている。

Renさんの分析発表

強みは、ケーナ奏者がプロでやってる人が全国で10人いないこと。自分で楽器を作って販売している演奏家も一人もいない。人が少ないので、自由がきくことが強み。ただ、作るのが難しく時間もかかるので一人では手が回らないため、一般販売はできていない。生きている竹を見て良い楽器になるか判断する職人的な目も必要なので、制作の技術を持った人とうまく分担できるようなのが理想。弱みは、ケーナが知られていないこと。

自分の立ち位置としては、去年までのコンサート動員数でいえば、ケーナ奏者としては一番だと思うが、演奏家としてはまだまだ認知度がない。コンサートの音響もできるし、オンライン配信のコンサートもシステムもできるし、ケーナも作れるし、教室もあるので、全般的にできるかもしれないとは思っている。

ケーナ販売については、低価格のものがベースになっている現状を壊していきたい。そして、演奏家が住みやすい世界を作りたい。
これについて吉田さんからは、「目標をケーナの認知度を上げることとする場合、数値的根拠が必要になる」とアドバイス。例えばインターネットでどれくらい検索されているのかなどの現状分析をし、1日で仮に1000件だった場合、半年後に1万件になっていれば市場も10倍ということ。そのためのプロモーションをどうやって行くのか。ユーチューブなのかSNSなのか、テレビ出演なのかなどが今後の課題とのこと。

2、目標設定を発表

Renさん…「ケーナの認知度を上げる」

受講して、ケーナで新しいことがたくさんできると実感。私の生活にはケーナしかない。いろいろと事業展開を考えたら、この素晴らしい音色の楽器をとにかくたくさんの人に知ってもらいたいというところに行きつきました。なので、まずはケーナに認知度を上げていくことを軸に、いろんなことに挑戦していきたいと思います。

香川さん…「件数150%・売上200%・新規開発5社」

いろんな事業があるなかで、移動動物園に絞って設定。今回は、見栄え・清潔感・安全度・価格・ボリュームなどさまざまな角度から分析することができた。本音ではまったくできる気はしないんですが、自分に十字架をかけます。

シーオーラボ…「売上1000万円!」

インターネット・SNSを通じてコンテンツ販売をしていく。我々は、企業とコラボして面白いことをするおもしろ法人。世の中に面白いことを届けていきたい。手法はIT企業、サイトSNSインターネットのコンテンツ販売。今回一緒に受講するRenさんのケーナの販売や、香川さんの移動動物園などもコラボして企画していきたい。

3、まとめ

コロナで今、みんなが気付き始めたのは、個々に能力があった方が生き残れるということ。
今ここで話していることが、これからの軸を決めるためのパーツになります。
今回は1回目ということでそれぞれの目標設定をしてもらったが、意外とプランを立てるときに現状把握のチェックというのはできないことが多い。具体的にどう進めていくかというのは“枝葉”の部分。目標は“幹”の方。枝葉は実際の行動(プロセス)になるが、先にこっちに注目してしまう人が多いので、今日はまず幹=目標を決めてもらいました。
まずシーオーラボの売り上げ1000万、これは、やればできます。最後は達成できなければ吉田が強引にミッションを出します、絶対ここまで持っていきたいと思います。
香川さんの移動動物園も、コロナ禍で子供たちに少しでも楽しい場を提供できたらいいですね。
Renさんは、ケーナを世の中に広めるパイオニア的存在になっていただきたいと思いますので、これもプロモーション次第。ケーナ業界は超ブルーオーシャンです。

4、受講後の感想

○Renさん
これまで、コンサートや教室をもう少し充実するという今までの流れに沿っては考えていただけで、経営の道筋や具体的な数値、利益などについては考えていなかったので、分析などを改めて書きだしてみて、視覚的に見ると空いている隙間というのが見えた。図にしたことはなかったので、どことどこが繋がってるとか、客観的に把握することは大事なことだなと。
自分は思いついた時に動くタイプなので、半年という計画を立てて行動するというのは人生初。今後は演奏以外にも考えることが多くなると思うが、正直、不安しかないです。
知らない知識やノウハウを持ってるみなさんの話を聞いてるだけでできた気になってしまう。正直、どのくらいがゴールなのかが分からないし、そもそもゴールはないと思いますが、可能性しかない市場だということを言っていただけたし、「知られていない楽器で悲しいな」というところから、「知られていないんだからこれからいっぱい知ってもらえる」という気持ちに切り替えられた。まずは僕自身が何をどうすべきかまったくわかっていないので、その辺も含めてすべて勉強させていただき、必死に考えていきたい。

○シーオーラボ
ポジショニングマップは大学の授業でやったことはあったが、分析したことを実際にやらなきゃとなるとまた別の話。ちょっとビビります。1000万というのも身近にない数値だし、未来が見えないというか…慎重すぎて心配性の部分はあるが、3人だからできることもある。
代表・経営ということについても、具体的なイメージが描けていないが、点と点をつながれば未来はその先にある。まずは近いところの目標を達成して行きたい。
ビルゲイツが起業したのは19歳、アップルのスティーブ・ジョブスも21歳。年齢や経験は関係ない。自分たちが手がけていこうとしているインターネット業界は、突如として需要が生まれる時代になった。薄利多売ではなく、一点もののコンテンツとして強いものをやっていったほうがいいというのは見えた。それぞれの役割としては、大きなものを掲げたり夢を見るのは三村・吉田。そこを冷静にみたりするのが加藤なので、足して割ってちょうどいいのかも。まだまったく具体的ではないけど、もう成功しか見えない。

○香川さん
昔、会社員だった頃は今回のように分析して商談したりということをやっていたので、懐かしい気持ちもあって楽しかった。今後の経営について考えたり書き出したりしたことはいっぱいあったし、改めてこういうことだよなと再確認できた。これまではジャンルに分けて分析するところまではしてなかったが、頭の中にはあったので、比較的スムーズに書くことはできた。最後のミッション決めはやっていなかったので、時間と内容を限ってミッションを決めることができたのは大きい。目標が明確になったので、言ったからにはやらなきゃという気持ちになった。

参加者たちが互いにコラボしようという発想も生まれた

ケーナはが南米やアンデスの楽器なら、そこにゆかりのある動物をつれていって動物のいる演奏会をシーオーラボが企画するとかもあり、とか。また逆に、第三者からの客観的な意見も改めて見直すヒントになることも。

例えば「メイドインジャパンって高品質ってイメージがあるので、日本で作ったケーナを現地で売るというのは?」という案に、「むこうは物価が日本の10分の1くらい」としたうえで、「メイドインアメリカの尺八を買いたい日本人かいるかっていうのと同じ」とRenさん。

またコンクールを開くという案に関しては、日本にはケーナ協会というのもないし、コンクールも審査もないので、協会は作っちゃったもん勝ち。そういうの企画してくれる人がいたらありがたい、と多方面での新たな視点は参考になったよう。